村上隆さんが海洋堂を「オタクのハプスブルグ家」と評していたのには笑ってしまったのですけど、海洋堂というのは、1軒の模型店に集まってきたマニアたちがつくってきた会社なのだそうです。
既存のモデルに飽き足らなくなったマニアたちが、「自分で自分を満足させられるモデルをつくる」ことからはじまり、同好の士たちが次第に集まってきて、いまの形になったのです。
いまでもマーケティングはせず、「他社よりも少し良いもの」ではなく、「宮脇社長が面白いと思うもの」「とにかく最高のクオリティのもの」をつくる。
海洋堂を支える原型師たちへのインタビューのなかで、村上隆さんとのコラボレーションでも知られる美少女フィギュアのカリスマ・ボーメさんは、毎日朝9時の勤務時間から、夜の9時、10時まで、ずっと海洋堂で仕事をしているのだそうです。
会社と「寝に帰る」家との往復以外は、大阪の街に日曜の午前中に情報収集に行くだけ。
夕食も毎日会社。独身。
海洋堂には、そういうスタッフがたくさんいるのだそうです。
誰にも強制されることはなく、「最高のフィギュア」を創ることに没頭する人たち。
彼らがどのくらい給料をもらっているのかはわからないけれど、正直、この働き方だと、どんなに高給でも、使う暇もないだろうなあ、なんて考えてしまいます。
それこそ「趣味のもの」を買うのに使うしかないのだろうけど、それもまた仕事の必要経費といえなくもないわけで。
『カンブリア宮殿』に出演していた海洋堂のスタッフは、「自分はこれしかできないから、この仕事でご飯が食べられて嬉しい」と語っている人や「海洋堂のおかげで、なんとか食べていけるようになった」と満足げに語っていました。
彼らは、僕が考えるような「労働条件云々」なんてことは全く頭にはないようで、「こうして自分が好きなことをやって給料をもらって生きていけるだけで幸せ」だと心から思っているようにみえたんですよ。
「当直が多い」とか「クレームが怖い」とか「給料が同業他者より安い」と毎日ぼやいている僕は、なんだか自分がとてもつまらない人間に思えてきてしょうがなかったのです。
ああ、僕は基本的に「自分の仕事が好きじゃない」のだ。













